【寸評】☞ 同氏のほかの著書を読んだことなければ、文句なしでおすすめ!!
初の民間人校長が提唱するキャリア戦略
ホリエモンさんのネタ元!
昨年末の「東洋経済ONLINE」に掲載された、堀江貴文さんの『僕を含め、世の中の99%は凡人だ(リンク)』で紹介されていた藤原和博さんの“レアカード人材”理論。このコンセプトは秀逸だと思います。※解説は上記リンクの堀江さんの記事に詳しいので割愛します。
藤原さんについては、昔「リクルート出身者が民間人として初めて公立中学の校長に就任した!」というニュースにリアルタイムで触れ、ぼんやりと記憶の片隅にはありましたが、今回の記事で「あー、あの人だ!」とつながったので、一度著書を拝読させていただこうと思った次第です。
【書籍紹介】10年後、君に仕事はあるのか?
本書は、メガバンクが1万人規模のリストラを発表したあたりから、巷でまことしやかに「弁護士や会計士などいわゆる“士業”も近い将来AIに取って代わられる!?」などと騒がれ、大量失業の不安が広がっていることを背景に、“校長から学生へのメッセージ💬”として書かれています。
今後到来する「AI × ロボット」社会において、”どのようなキャリアを形成すれば良いのか”という問いに対して明確な方向性を示していますが、高校生に加えその親(後述「キャリアの大三角形」における“3歩目”に差し掛かる世代)も二人称へ巻き込み、読者の間口を広げています。
この混沌とした未来を生き抜く高校生のために
いつの世も繰り返される「学校の勉強は社会では役に立たない」というもっともらしい弁に対して「なぜそれでも(学校の勉強も)必要なのか」を根気よく論理を紡いで、さらに「でもそれだけでは足りない」ことを見事に説明してみせたのが本書です。
「じゃあ、どうすればいいの?」には、旧来の“学力(インプットを担う情報処理力)”と氏の提唱する“5つのリテラシー(アウトプットを担う情報編集力)”を「生きるチカラ」の両輪と位置づけ正解主義(ジグソーパズル)から修正主義(レゴ)へシフトすることを提案しています。
本書ではメタファー(たとえ)やフレームワークが多用されていますが、冒頭で触れた“レアカード人材”になるためのノウハウ=「キャリアの大三角形」(上図)は、私のキャリアデザインにおけるポリシーに通底する部分があり、個人的にはとても共感できました🎵
つまり「これからは希少性がモノを言う時代。何か一つの得意分野を極めること(専門性)だけでは勝負できない。一つの分野をマスターしたら、すぐさま次の(専門分野の)開拓に移りなさい」ということ。※それらを掛け合わせることで希少性が生まれる😎
総評
ふと先月読んだ『転職の思考法』で示された「20代は専門性、30代は経験、40代は人脈をとれ」という言葉を思い出し、本書と併せ読むとより立体的に理解が深まる部分があるように思います。
また、キャリアの大三角錐(3D)の高さが「哲学性と美意識」、体積が「クレジット(信任の総量=信頼 × 共感)」、うち現金化した部分が「報酬」、残りが人生における「自由度」という整理も非常に示唆に富んだ、腹落ちする概念でした。※詳しくは本書を読んでみてくださいね😃
他のレビューを読む限りこれまでの自著の焼き直しの部分もあるようで、同氏の著書の中でこれが集大成かと問われれば(他を読んでいないので)正直自信はありませんが、初めて読む藤原さんの著書としては十分に中身の詰まった良書です。
10年後、君に仕事はあるのか?未来を生きるための「雇われる力」【電子書籍】[ 藤原和博 ] 価格:1,361円 |