【寸評】☞ 権威による時事ネタだけに、焼き直し、使い回し感が強すぎて残念。
「世界のグル」 が語る時事ニュースの読み方
“一流経営コンサル”という憧れ
大前研一さんと言えば、経済界における世界的ビッグネームであり、最強頭脳集団マッキンゼーの国内黎明期を支えた大御所。リアルタイムで体験したわけではないのですが、BCGの三枝匡さんと並んで「経営コンサル」という職業を鮮烈に印象付けて日本に定着させた功労者だと思います。
私が学生の頃は、まだ日本社会全体が“偉大なるアメリカ”へのおぼろげな憧憬を抱いていた時代で「欧米を向こうに回して対等に渡り合えるような、世界を股にかけるビジネスマンになりたい✨」と夢見たものです。
そんな憧れの経歴と世界的名声を持つ大前さん。最近同氏の著書から遠ざかっていたこともあり、久しぶりに手に取ってみました。
【書籍紹介】日本の論点2019~20
さて、表題の通り、日本を取り巻く時事ニュースを取り上げ、独自の視点を19の論点から展開する本書。
プレジデント誌の連載記事「日本のカラクリ」を一年分かき集めて焼き直しただけあってか、刊行から1か月半しか経っていないにもかかわらず正直中身は鮮度を失っている部分が散見されます。
“漫然と時系列で流れてゆく”単発記事の寄せ集めではなく、時間軸を俯瞰しつつ全体を貫く総括に沿って纏めれば個々の論点自体はValidだと思わなくもないのですが、そもそもこの手のコンテンツはネットや雑誌がフォーマットとして最適。知って書籍を手にした自己責任ですね…
ただ、下記のようなマクロの視点はやはり慧眼です。- 人口オーナス期に国債乱発✖ ☞ 税収で財政再建✖ ☞ 土地ボーナス活用の外国企業招致◯
- 地方創生✖(田中角栄は中央のおこぼれ分配論)☞ 道州制を基盤としたインバウンド創出◯
- アベクロ・バズーカ✖(低金利資金は低欲望社会を素通りして投機へ)☞ 賃上げ◯
総評
たしかに示唆には富んでいるものの、骨子は氏が20年来提唱し続けている政策であり、目新しさはあまりないように感じます😓
著者は早熟で、若くして世界的名声を欲しいままにしてきた一方、巻頭言で自身が言及するように『新しい年号に「維新」を唱える改革の旗手』が出現することを待望しつつ、いまだ次代へバトンを渡せずにいる様は、書中マハティールの置かれた状況と酷似する!?…と思ってしまいました💦
価格:1,728円 |