【寸評】☞ この本の良さ、起業とかの経験がないとなかなか内容が伝わらないかも…
元コンサルなのにかなり泥臭いふるさと再生劇
社会的起業への熱き思い
この本を最初に目にしたのは、名刺管理アプリEight上での広告。ホント毎日これでもか!ってほど宣伝していました。
ただ、もともと社会的起業(= Social Entrepreneurship なんかこの翻訳、個人的にイマイチピンと来ないのですが…)に関心があり、古くは徳島県上勝町の株式会社いろどりを作った横石さんのストーリーが大好きな私。(カンブリア宮殿で紹介された後、映画にもなりましたね。)
「民間が市場の原理を用いつつ、社会問題を持続可能な形で解決する術はきっとある💡😃」という常日頃の思いから、今回も「面白い成功事例があるなら追体験してみたい!」と飛びつきました。
【書籍紹介】熱海の奇跡
本書は大学卒業後に一旦はIBMへ就職した著者が、かつて温泉地として栄えたふるさと熱海の凋落ぶりを見かねて一念発起。Uターンして官民を巻き込む再生プロジェクトを次々と仕掛けていき、10年かけて一大ムーブメントを起こすまでの活動の軌跡を綴った実話です。
しかーし!読み始めてみるとほどなくして「語り口がモッサリしてる💦」とか「まとめ方が論理的フレームワークに落とし込まれていない😲」とか本題とはあまり関係のないところがやたらと気になって、最初は正直あまり内容が入ってきませんでした。(すみません…笑)
でも私が強調したいのは、そんな小手先の文章術や表現テクニックのあるなしに惑わされず、本書はぜひ最後までくじけず読み切って欲しい!ということです。(私はくじけそうになりました💦)
猪突猛進!若さに任せた町おこし
読み進めていけば、取り組んだプロジェクトひとつひとつの意味と成否のポイント、そして著者の市来さんがそこまで牽引していく過程で常に持ち続けた情熱を存分に感じられると思います。
また後半にかけてそれまで一見バラバラに見えた個々の活動が点から線、さらには面へと結実していく様は圧巻です。(内容が入って来ないとか言いたい放題言いましたが、エピローグを読むころには完全に感情移入してウルウル感動の嵐でした!)
私の中でコンサルの方は、大前研一さんだったり、三枝匡さんだったりスマートにフレームワークが整理されてるイメージだったのですが、ちょっと毛色が違う感じ。
走りながら武器を拾うタイプというか、実力行使の強行突破。そう!突破力がスゴいし、ご自身でも分析されている通り、若さとの相乗効果も確実に奏功したように思います。
総評
本書の最大の魅力は、やったことのある人にしか語れない言葉の“重み”。著者が受けたアドバイス「初期投資を三分の一にしなさい」など別に目新しくないけど、いざ実践する段では具体的になぜ重要なのか、怠るとどういう結果を招くのか。そうした示唆に富んでいます。
とくに全編を通して口酸っぱく再三強調されている「十分に利益を稼ぎ出さなければ意味がない」というのは、“ややもすれば見落とされがちだが極めて重要”な Social Entrepreneurship の本質を突いた、経験から絞り出された渾身のアドバイスです。
そういう意味では、当初期待していた「追体験」を3Dさながらの臨場感でたっぷり味わうことができ、読み応えのある大満足の一冊でした!
熱海の奇跡いかにして活気を取り戻したのか【電子書籍】[ 市来広一郎 ] 価格:1,512円 |